浜口書庫

富江は

さんごの歴史がある その4

五島列島・福江島。その港まちである富江で創業した浜口水産といえば、ご存知の通り、現在ではかまぼこをはじめたとした加工食品を販売しています。 しかし、意外にもその歴史を辿るとさんご漁ともゆかりがあるのです。

浜口水産とさんご漁

浜口水産の創業者・サヨは、当初、魚の行商をしていました。それがあるとき、あまった魚をすり身の天ぷらにして販売したところたいへん好評だったため、やがて富 江以外にもバスを使って島内へ配達するようになりました。それがかまぼこ屋としての浜口水産の始まりです。サヨの子どもたちは漁師として生計を立てていたので、やがてその孫にあたるの先代の社長・正剛(まさた け)が浜口水産を継ぐこととなりました。そして、その弟である光昭(みつあき)がさんご漁師だったのです。

さんご漁の衰勢

ほかのさんご船と同じく、光昭も男女群島の女島沖まで漁に出ていました。船に掲げた大漁旗の願いが通じたのか、1度の航海で、多い時は当時のお金で800万円にもなったそうです。50年ほど前の話ですので、現在の物価 だと1600~3000万円ほどになります。しかし、それはちょうど明治時代から続いた五島列島のさんご漁にも陰りが見え始めた時期でもありました。徐々にさんご漁で生計を立てることが難しくなり、親族の勧めも。あって、ついに光昭はさんご漁師からの引退を決意しました。そして引退後は浜口水産の工場長として勤める事になります。

さんご漁の名残

浜口水産のお得意様にはおなじみのモダンなデザインのギフト包装紙。ご覧の通り、大漁旗をモチーフにしています。そしてモチーフとなった大漁旗に大きく書かれている 「第五演栄丸」こそ、じつは光昭がさんご漁に使っていた 船なのです。大漁旗とは、漁に出た漁船が、大漁で帰港する際に船上に掲げる旗で、現代では漁や祝い事にも用いられています。浜口水産でも商売繁盛を願い、縁起物である大漁旗をデザインに起用しています。さらにもうひとつ、浜口水産にはさんごをモチーフにした商品があります。それは人気商品である五島巻と五島特巻です。棒状の五島巻・五島特巻を切ると、昆布で形作られたさんごのシルエットがあらわれます。味はもちろんのこと、こ のかわいらしいシルエットも人気の理由です。



浜口水産の工場では、富江を繁栄させたさんご漁の伝統を後世に伝えるため、第五演栄丸の大漁旗の実物が飾られています。浜口水産とさんご漁の関係は今となっ ては知る人ぞ知るストーリーです。しかし浜口水産のあるかぎり、その歴史は当時の大漁旗やデザインとともに受け継がれていくことでしょう。