浜口書庫

富江は

「“いもはまんだかな”の声がひびく」

いもはまんだかな

 

 

 

富江だけに伝わる風習
   富江には「いもはまんだかな」と呼ばれる伝統行事があります。

   それは中秋の名月に こどもたちが「イモはまんだかなあ~」という呼び声とともに富江の家々をまわってお菓子をもらうという、まるでハロウインのような風習です。これは五島の中でも富江町のみに伝わる風習といわれています。
   「いもはまんだかな」の当日は、小学校から帰宅したたくさんのこども達が、お菓子を求めてタ暮れのまちを走り回る姿をあちこちに見ることができます。

古くから伝わる風習
   この風習はいつごろ発祥したのでしようか。 日から富江で暮らされている70代の方にお話を伺っても、小さい頃からすでに存在していた風習だという と以外、正確なことはわからないと言います。
   日本でお月見の文化が-般的に広まったとされるのは江戸時代といわれているので、もしかしたら「いもはまんだかな」の歴史もそこまで遡るのかもしれません。
   また、現在では富江の多くの地区で行われていますが、二十年ほど前から始まった地区もあれば、数年間途絶えたものの復活させた地区もあるそうです。発祥地は、 説には富江町の山下地区、もしくは隣接した黒瀬地区ではないかと言われています。


サツマイモからお菓子へ
   「いもはまんだかな」とは「お芋はまだですか?」という意味です。かって富江で農家として暮らしていた人々が、中秋の名月に向かって豊穣祈願、もしくは収穫の感謝祭として蒸したサツマイモを縁側にお供えしたものを、こども達が持って行ったり、もしくは配ったりしたことから広まった風習なのではないでしようか。
   いもはまんだかな現在ではサツマイモを育てている農家も減り、手間がかかることから、蒸したお芋を用意する家庭はほ 開催情報とんどありません。
   その代わり、この時期が近くなると、富江の商店ではこども向けのお菓子が箱のまま店頭に並びます。富江のスーパーマ-ケットでは「いもはまんだかな」の1ヶ月ほど前からいつもとは比にならない量のスナック菓子を仕入れて販売するそうです。
   そうしてこども達はお菓子をくれそうな家を一軒ずっ探したり、友達同士で情報交換をしながら、あらかじめ用意したリュックやビニル袋いつばいに、数ヶ月間はお菓子を買わなくて済むくらいお菓子を詰め込んで帰宅します。

まちの記憶を未来へ紡ぐ
   小学生たちが、お菓子目当てとはいえ、地域の家々の門戸を叩いて見知らぬ大人たちと挨拶を交わす姿は、こども達の成長を見ているようで頼もしくもあります。
   そして彼らがいつか大人になった時、今度はお菓子をあげる役目となるのでしよう。
   富江の人々は昔からこのような風習を通し、様々な世代の地域の人々と交流を深め、まちを未来へと紡いできました。人間関係が希薄になりつつある都会ではもはや考えれないこの風習、富江では末長く続いて欲しいですね。


▷▷「いもはまんだかな」について
  • 時期   :   9月~10月の中旬の名月
  • 時間   :   16時ごろから18時ごろまで
  • 場所   :   富江町各地